出張先への移動時間は労働時間か?

Q:

出張先への移動時間は労働時間か?


A 原則、移動時間は労働時間とならない。当該時間が使用者の指揮命令下に置かれているかによって客観的に判断される。


1.出張中の移動時間の労働時間該当性
労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下にある時間のことをいいます。出張先への移動時間については、移動時間中の拘束性や使用者の支配管理がどの程度あるのかといった事情から、当該時間について使用者の指揮命令下に置かれているかを判断します。具体的には、移動中に業務の指示を受けず、業務に従事することもなく、移動手段の指示も受けず、自由な利用が保障されているような場合には、労働時間に該当しません。

また、休日に移動をする場合、いわゆる移動日の取扱いについては、通達において「出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても、出張中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は休日労働として取扱わなくても差支えない」(昭33.2.13基発90)と示されています。

これにより、出張中の移動時間は、原則、労働時間に該当しませんが、移動中に業務に用いる物品の運搬や監視等を行った時間や出張先での打合せや商談等、実際に業務を行った時間については、その時間を労働時間として取り扱わなければなりません。


2.出張業務における健康管理措置
出張時の移動時間は、原則、労働時間とはなりませんが、早朝出発や夜遅い帰着となる場合、移動時間は労働時間でないとしても、労働者には心身の負担が掛かります。また、出張中の移動時間はある程度自由な利用が可能であり、通常の勤務より精神的緊張が少ないとはいえ場所的な拘束は受けます。

使用者は労働者に対して、安全配慮義務を負っており、労働時間との関係でも「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」(電通事件 最高裁二小 平12.3.24判決)と解されており、その前提として労働者の労働時間を管理すべき義務を負っていることになります。よって、出張が特定の労働者に偏っている場合には出張業務を分散させられないか等、健康管理のための措置を採ることも検討すべきでしょう。


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