一カ月単位の変形労働時間制における残業の考え方は?

Q:

一カ月単位の変形労働時間制を導入した場合、時間外労働の発生はどのように考えればよいのでしょうか?


A:

変形労働時間制を導入している場合には、以下の3つの確認方法により、法定労働時間を超える勤務があった場合には時間外労働が発生します。


1.1ヶ月単位の変形労働時間制の特徴

労働基準法では、休憩時間を除き、1日の労働時間は原則8時間以内、1週間の労働時間は原則40時間以内と定められています。しかし、1ヶ月単位の変形労働時間制を導入することにより、変形期間における平均週所定労働時間が1週間あたり法定労働時間である40時間を超えていなければ、1日の所定労働時間が8時間を超えている日があったり、1週の所定労働時間が40時間を超えている週があったとしても、割増賃金の支払いが必要な法定時間外労働にはなりません。

例えば、下表のように、個別の週でみると2週目のように土曜日出勤があり所定労働時間が48時間の週がありますが、4週間の平均を取ると週40時間以内となっており、この4週間での割増賃金の支払いは不要となります。変形労働時間制の導入でもっとも多いのは土曜日出勤がある場合ですが、1日の所定労働時間がある日は9時間、またある日は7時間といったように変化する場合にも有効です。


2.1ヵ月単位の変形労働時間制における時間外労働の計算

1ヵ月単位の変形労働時間制において時間外労働が発生するのは、次の3つの確認方法によって確認し、その時間を超過する場合です。

(1)1日については、8時間を超える所定労働時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間

(2)1週間については、40時間を超える所定労働時間を定めた週はその時間、それ以外の週は40時間を超えて労働した時間((1)で時間外労働となる時間を除く)

(3)対象期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間((1)または(2)で時間外労働となる時間を除く)

例えば、上記の表で、4週目の金曜日は所定労働時間が10時間ですが、突発的な業務が発生し1時間残業した場合、その1時間は、上記(1)のケースに該当し、時間外労働としてカウントし割増賃金の支払いを行う必要があります。

さらに、3週目の金曜日にも2時間の休日出勤をしたとすると、上記(1)(1日)、(2)(1週)は超えませんが、上記(3)の総枠を超えることになるため、時間外労働としてカウントし、割増賃金の支払いが必要となります。

以上のように、変形労働時間制においては、時間外労働のカウント方法が複雑であるため、日頃から従業員のシフト管理や勤怠管理を徹底し、時間外労働のカウント漏れによる割増賃金の支払い漏れが生じないよう、注意しておきましょう。


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