業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、2011年12月に策定された「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(以下、「認定基準」という)に基づいて労災認定が行われています。
その後、労働者を取り巻く職場環境が変貌するといった社会情勢の変化がみられることから、最新の医学的知見を踏まえた検討が行われ、認定基準が改正される動きがあります。
主な内容としては以下のとおりです。
1.業務による心理的負荷評価表の見直し
- 具体的出来事の追加、類似性の高い具体的出来事の統合等
・[追加]具体的出来事に「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)
・[追加]具体的出来事に「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」
- 心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充
パワーハラスメントの6類型すべての具体例、性的指向・性自認に関する精神的攻撃等を含むことの明記等
2.精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める。
3.医学意見の収集方法を効率化
特に困難なものを除き専門医1名の意見で決定できるように変更
現在、心理的負荷による精神障害の認定基準案に関する意見募集(パブリックコメント)が、2023年7月12日から始まり8月10日まで受け付けられています。
2023年9月上旬を目途に厚生労働省労働基準局長通達を発出し、実施するとしていることから、今後の動きに注目しましょう。
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